資源探査用将来型センサ(ASTER)
[NASA Terra/EOS-AM1 搭載]

The Advanced Spaceborne Thermal Emissionand Reflection radiometer


ASTERシステム 可視近赤外放射計(VNR)
短波長赤外放射計(SWIR) 熱赤外放射計(TIR)





ASTERの機械的インテグレーション状況
(於ロッキードマーチン社)




 全地球的な環境変化や益々高まってくる人類活動の要求を的確に把握するためには、地球を一つのシステムとして理解することが不可欠です。
 地球観測システム(EOS:Earth Observing System)は、これらを包括的、地球規模で捉えることのできる観測システムとして先駆的なものであり、広帯域のスペクトラムと高い空間分解能で地球を観測します。
 国際的な地球観測の要求が高まっている中で、米国航空宇宙局(NASA)は極軌道プラットフォームTerra/EOS-AM1を国際協力のもとで開発、運用することを提唱しました。

 極軌道プラットフォーム搭載用資源探査観測システムとしてのASTERは、上記NASAの呼び掛けに応えて、通商産業省/当研究開発機構が開発した、Terra/EOS-AM1に搭載されているセンサの一つです。
 ASTERは高分解能、マルチ分光チャンネルの放射計の総称であり、
   可視近赤外(VNIR:Visible and Near Infrared)、
   短波長赤外(SWIR:Short Wavelength Infrared)、
   熱赤外(TIR:Thermal Infrared)
のそれぞれのデータを取得します。
 これは、EOSによる地球規模の科学の発展に対し、核心となるデータを提供するものです。
 この目的には地表のみならず、海面や雲の観測も含まれます。

 

Terra /EOS-AM1picture
図面提供:NASA's "EOS(Earth science)"


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ASTER システム

 ASTERは可視バンドから熱赤外バンドまでの14スペクトラムチャンネルを有する高性能光学センサで、地球の様々な分野の科学的、実用的な価値あるデータを提供します。

 ASTERは可視近赤外放射計(VNIR)、短波長赤外放射計(SWIR)、熱赤外放射計(TIR)、及び共通信号処理部(CSP)、マスタ電源部(MPS)から構成されています。

 

ASTERの主な特徴は次の通りです。
・可視から熱赤外波長域の地表の画像データを取得します。
・各観測バンドで、これまで例のない幾何学的な高分解能と
  輝度高分解能を実現しています。
・近赤外バンドでは同一軌道で立体視画像を取得することができます。
・SWIR、TIRは±8.55度の撮像視野角を得るため、
  またVNIRは±24度の衛星軌道直角方向に、
  それぞれ機械的にポインティングできる機能をもっています。
・SWIRとTIRでは高信頼性の冷凍機が装着されています。
  (設計寿命 50,000時間)


ASTER外観

photo



ASTER 主要諸元

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可視近赤外放射計(VNIR)


 可視近赤外放射計(Visible and Near-infrared Radiometer)は、可視バンドから近赤外バンドまでの地表の太陽反射光を検出してマルチスペクトラム画像を作成する高性能、高分解能の光学センサです。

 この放射計は、資源探査、国土調査、植生、環境保護、災害防止等を主な目的としています。


VNIR外観

 同一軌道内で27.6度後方視の光学系と検知器をもち、これと同一波長域の直下視のバンドを組合わせて立体視が可能となります。立体視の機能は、地形学とデジタル標高モデル(DEM)の作成に有効です。
 放射計の校正は、軌道上でハロゲンランプによって行い、高いラジオメトリック性能を保証します。
 また、衛星軌道面と直交方向のポインティング機能を有しており、±24度の範囲までポインティングして観測することができます。




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             VNIRの熱真空試験状況

可視近赤外放射計(VNIR)諸元

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短波長赤外放射計(SWIR)


 短波長赤外放射計(Short Wave Infrared Radiometer)は、 1.6〜2.43μmの短波長赤外波長域における、地表からの太陽反射光を検出する高分解能、多バンドの光学 センサです。

 この放射計は、岩石・鉱物の識別による資源探査、植生等の環境監視、火山活動の観測を主な目的としています。


SWIR外観

 SWIRの検出器は、1枚のチップ上に、装備された6バンドの白金・シリコン・ショットキー・バリア型のCCD検出器であり、入射光の光は、チップ上に装着された6枚の縞状のフィルタで行っています。
 1バンドあたりの有効画素は2048です。
 この冷凍機の運用寿命は、50,000時間以上です。
 スターリングサイクル冷凍機で約80Kまで冷却されます。
 また、SWIRはポインティング機構を有し、最大±8.55度までの軌道直交方向のポインティングが可能です。


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SWIRの振動試験状況

短波長赤外放射計(SWIR)諸元


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熱赤外放射計(TIR)

 熱赤外放射計(Thermal Infrared Radiometer)は、地球からの熱赤外線放射(8〜12μm波長域)を5バンドで高精度に観測するための熱赤外放射計であり、熱放射特性を利用して鉱物資源の判別や大気、地表面、海面の状態を観測する主な目的としています。


TIR外観


 こんにち、鉱石(珪長質岩と苦鉄質岩)の識別、雲の調査、蒸発散の研究、火山の監視などを地球規模で高精度に行う要求が、ますます高まってきています。
 TIRのセンサ部は、高分解能の水銀カドミウムテルル(HgCdTe)検出器であり,また高精度の機械的走査ミラーを採用しています。
 また、この検出器は小型軽量の長寿命リニア駆動スターリングサイクル冷凍機を使用して約80Kまで冷却され高い性能を得ています。


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TIRの振動試験状況
熱赤外放射計(TIR)諸元

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 NASAのTerra(EOS-AM1)は、ASTER他全部で5種のセンサを搭載した約5トンの大型衛星で、平成11年に高度705kmの太陽同期準回帰軌道に米国西海岸の射場より打ち上げられました。
 EOS-AM1については、下記NASAホームページを御参照下さい。

EOS-AM1(http://eos-am.gsfc.nasa.gov/)

 ASTERにより取得されたデータは、財団法人資源・環境観測解析センター (ERSDAC)http://www.ersdac.or.jpにより各方面に配布されます。


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